御用納めと年末年始の休み

アメリカには少なくとも「年末年始の休み」に相当するコンセプトがないため、「御用納め」というのもない。

私は日本企業と米国企業を相手にしながら仕事をしているので、アメリカのクリスマス休暇突入、日本の御用納め、三箇日を経て、日本が仕事を再開するまで休みということになる。

ところが、普通のアメリカ人というのは、12月24日は早めに退社し、25日は祭日。26日から平常に戻る。26日から31日までの1週間は年末とか師走年の瀬なんてことは全く意識外で、いつもと変わりなく仕事をする。31日はニューイヤーイブということで、夜はあちらこちらで友達同士が集まるパーティーが開かれて、二日酔いの頭を抱える1月1日は祭日。そして1月2日から新年の平常業務開始ということになる。

私に言わせれば、いとも中途半端な1週間というわけだ。クリスマスや元旦という大きなイベントの余韻を味わう暇はないのも物悲しいというか虚しいというか。正月は三箇日で3日連続でお屠蘇気分を味わわなければ正月らしくないでしょうに。

「年末の大掃除」というコンセプトもアメリカにはない。
(連休がないのだから大掃除のしようもないし、ロッキー山脈から東は雪に覆われるのだから、大掃除なんて気分ではないだろうが。)
最近の日本は、畳替えとか障子の張替えなんてないのだろうが、それでも換気扇やコンロの掃除等の台所系、浴槽、浴室の床壁の風呂場系、窓拭き、普段は手が届かないですませている棚の上の拭き掃除なんていうのは我が実家でも恒例だ。

シリコンバレーのIT系企業は、12月25日から1月1日までを公休日としている会社が少なくない。
その発祥がどこにあるのか調べたことはないけれど、たいていの会社が休みである。
(もっとも出勤しないだけで、自宅で仕事をしている人は多いのだけれど。)

日本流年末年始に慣れている私としては、仕事始めが1月2日なのか1月4日なのかの違いだけでもかなりの違和感があるが、それでもクリスマスから元旦までの1週間は自分の時間が持てる貴重な1週間である。


皆がのんびり、正月気分を味わっている時に、「呼び出し」待機組は辛いものがある。
ネットワーク監視系運用担当者とか、衛星運用担当者とか、とかく現場担当は大変なのである。
障害が発生した時に、すぐに出勤できるように、昔ならポケベル今なら携帯は常時必携で、職場から1時間以内の場所にいることなんていう条件を付けられたりすると、家族で温泉旅行にすら出られないということになる。

私の亡父は、電電公社時代に線路宅内を担当していたことがあり、「自動車が電柱に衝突して電話線が切れた」という連絡が入るたびに出動して行った。障害報告は夜間や休日に多いのである。

私が直接データセンターやNOCの運用担当者と接触することはあまりないけれど、彼らの大変さを知っているが故に「ご苦労様」と言いたい。障害が発生してメーカーに障害報告をあげる時にはお手伝いしますからね。