死生観 5年生存率

母方の兄弟は長生きが多い。
病気にならないのか、医者にかからないので病気が見つからないだけなのかよくわからないけれど、普通の生活をずっと続けている。
肺がんの手術をし、冠状動脈にステントを入れ、最後は腫瘍が脳に転移して、あしかけ7年も病気と共生していた父が先にに逝ってしまったと母は悔しがる。

お正月に遊びに行った時は、とても元気で、頭も母よりしっかりしていると感じたくらいのちゃんと立派に一人暮らしの自立した生活をしていた一番上の伯母(86歳)が少し点滴した方がいいと言われたということで入院したのが1月末。どうせ寒いし、あったかい病院の方が楽でいいわよ、と言っていた私達。でも2週間も入院したおかげで(その間、運動もリハビリもしなかったらしい)歩けなくなってしまったといって退院してきた伯母は、急に容態が悪くなり、もうあまり長くないという宣告を受けたらしい。

老衰なのか体内に病気があっても気づかないでいたのかわからない。でもあんなに元気でしっかりしていた時からわずか2ヶ月足らずにこんな状態になってしまうなんて。逆に最後2ヶ月程度の病気期間で、お迎えに来てもらえるということもいえる。

母のすぐ上の兄(82歳)は、タバコ大好き、お酒大好きの典型。80過ぎても、頻繁にゴルフに出かけていて、自営業を切り盛りしていた人である。周囲がいくらタバコはやめたほうがよいといっても、この年になってタバコをやめて寿命が多少延びるよりも好きなことをして寿命が縮んだ方が良いと言っていた人である。
初期の胃がんが見られるということで内視鏡手術をした時に、大動脈瘤が見つかったらしい。
一触即発の可能性があるので、バイパス手術をすることになった。

母の7人兄弟一番下の弟は、通勤途中に大動脈瘤が破裂し即死。66歳だった。彼もチェーンスモーカーでお酒が好きな人だった。

そして母の双子の妹(きんさんぎんさんみたいにそっくりの双子で近所に住んでいる)はアルツハイマーの症状が見られるようになった。物忘れがひどいを少々通り越したあたりだ。お互いに連れ合いをなくしたら一緒に住もうと約束していた2人だが、母の方が連れ合いを先に失くして2年になる。2人で一緒に老後を支えあう前に、叔母はアルツになってしまった。母もかなりショックを受けている。

今年は、母方の親戚だけで3人失くしそうだ。一番仲良くしていた末弟の叔父は2年前、父が他界したその1ヵ月後に急死してしまい、その上、一番近しかった叔母まではアルツハイマーが進行しているとあっては、母も大勢いた兄弟をいっぺんにみんな失うような気持ちになるだろう。

年をとって、色々な病気にかかり、治療し、大量の薬を飲みながら生き長らえるのがよいのか、知らぬが仏と病気を無視して、いざという時には短期間で逝ってしまうのがよいのか、考えてしまう。(もちろん、答えはケースバイケースと決まっているのだけれど。)

5年生存率は、いつも医者の観点から説明される。これを患者の立場から解釈するとどうなるのか、医師達が考えたことがあるのだろうか。5年生存率の持つ意味を患者の観点からちゃんと説明しているのだろうか。