子供の虐待と裁判費用のジレンマ

23日日曜日の朝は雹と雪が降ったというのに、この1週間は本当に春らしい日が続いた。
窓の外の鳥のさえずりが、心を浮き立たせる。
Tit mouse, Red house finch, Sparrow finchあたりがかわいい声で鳴いている。

ところが、今日は予想も付かないような仕事の依頼が舞い込んだ。
日記を翻訳してほしいという。
私は太平洋戦争中の遺品返還などにも関与しているため、時々、手記を出版したいのでぜひ翻訳してほしいという依頼を受けることがある。
今回もそのたぐいかな?と思った。
けれども子供の虐待に関することだという。
状況がわからないでいるうちに依頼人がオフィスにいらっしゃった。

結果的には、お孫さんが娘婿とその両親に虐待されているらしい、その記録をおばあさんが日記につけていたというものだった。
娘さんは現在離婚調停中。親権を廻る問題もあるらしく、何とかして娘婿とその両親の子供虐待を立証したいというご夫婦の依頼だった。

記録をつけていたということは裁判においてとても有効である。
特にアメリカの裁判においては有効だ。
けれども日本語でつけていた日記は翻訳しなければ現地の弁護士や裁判官には使えない。
しかも感情的になって書いているので、そのまま翻訳したのでは英文として成り立たない。
通常の和文英訳の難しさ(かなり補足をしないと英語の構文が作れない)に加えて、誰が誰を指しているのか、Notが必要なはずなのに入っていないなど、様々な問題があり、かなりクリーンアップが必要である。

まあ、それはよいとして。
日記だけれど、かなりの文字数がある。1日分で約200語。
2年間で約70日分の語数(約14,000語)である。
これを英訳するとかなりの金額になってしまうのだ。

1−2日で仕上げて欲しいというご希望に添えることも大変だけれど、個人で負担するのは大変な金額だ。損害賠償請求で、相手からお金が取れる係争であれば遠慮なくチャージできる。けれどもこのような家庭内の問題は、裁判に勝っても相手から損害賠償が取れるとは限らない。翻訳だけで十万単位の金額を負担するのは大変なことだろうと思う。

こういう場合ってどうすればよいのだろうか。
Pro bonoといって無料で引き受けるケースもあるのだけれど、既にスケジュールが詰まっている中へ割り込ませるので本来であれば、特急料金の対象となるような業務だ。特急料金を免除したとしても、想定していた料金と桁が違うと言われてしまうと、心が痛む。ここ2−3ヶ月は本当にスケジュールがいっぱいで、割り込みで引き受ける翻訳は気をつけなければならない。

何人かで手分けして皆で少しずつPro bonoということにできればよいのだけれど。