指の爪

私は手が汚い。
汚いというのは、見栄えが悪く、女らしくない、人前には出せないという意味である。
父親に似て、野球のグローブのように肉厚で、指が太くて短い。
母の手も、しなやかで白魚のような指から程遠い。
私はどちらに転んでも不細工な手ということになる。

そして爪が短い。
指(末端の第一関節から先)が短いせいだろうが、指先にほんの申し訳程度に爪が付いているだけなのだ。こう手指の格好だから、いくらネイルを貼り付けたとしてもきれいに見えない。そもそも指と爪のバランスが悪くなるだけだから。

そして爪が薄い。
紙のように薄く、いくらでも折り曲げることができる。
炊事をするとふやけてペロペロになってしまう。そして折り目がついてしまうのだ。
乾燥するとすぐに欠ける。出張時、空港でスーツケースを取り扱うとかならず弧を描いて欠けている。
出張前は爪を短く切りそろえる癖がついた。

ところが爪が伸びるのは早い。
短く切りそろえても1週間もすれば、元に戻っている。
2週間すると、マニキュアを塗りたくなるほど長くなる。
この長さになると、ワープロを叩く時に邪魔になる。
爪の伸びが速いのは健康な証拠だと言われるけれど、真偽の程はどうなのだろう。

春だし、マニキュアを塗りたいと思う反面、今週末からの出張、山ほど溜まった翻訳のことを考えるといっそのこと、短くしてしまおうかとも思っている。

少し長くなると、気になって爪を噛んでしまうのも悪い癖だ。