NHKクローズアップ現代 「さまよう兵士たちの日の丸」

2ヶ月ほど前にインタビューを受けた番組が8日に放映される。
中身を見てからでないとコメントできないけれど、私の心境は複雑。


私が遺品返還活動を始めてから数年になる。無事に遺族の元へ届けられたケースもあれば、ご自身も生還して戦後活躍されていた方もある。遺族への連絡を中継してくださった方とのメールのやり取りの不具合のために返還が5年遅れ、その間に遺品(日章旗)の帰還を待ち望んでいた許嫁の方は他界してしまったケースもある。


今回のNHKの番組の趣旨は、いかにして遺品が返還できるかではなく、「武器オークションで盛んに売買される日章旗」の現実を追いかけるということだったので、私は直接的には関与しなかった。私の場合、入手経路を問わず、ご遺族を探し当てて遺品を返還することを目的としているからだ。

もう一つ私がNHKへの協力をためらったのは、日章旗を返してもらった側の心情としてある「固定観念」を持っており、そのストーリーに合う遺族を対象に取材しようとしていたからだ。番組を作るためにはあらかじめストーリーを決めておき、そのストーリーに合った題材を取材してまとめることは重要である。今回の取材を打診された際、その「ストーリー」が何であるのか曖昧に思えた。そして今回のストーリー(固定観念)をベースに「戦争の記憶をどう語り継いで行けばよいのか」にまとめることに対して、抵抗を感じていた。


けれども日章旗を初め、遺品の返還活動がこの放送をきっかけに盛んになればそれに越したことはない。
番組の趣旨が正当で私の懸念が取り越し苦労となる良い番組になっていることを期待している。

8日は真珠湾攻撃の日。おそらく意図的な放映日だろう。