森の悲劇

MickieG2010-08-01

"Something broke into your spring. The stench is very bad."
と夕方7時頃、主人の携帯に電話をかけてきたのはお隣のジムさん。
ちょうど、ランチに向けて車に乗り込み、エンジンをかけようとしていたタイミングだった。

彼の連絡から推察するに、何か動物が湧き水の貯水槽に落ちてしまったもしくは山猫が獲物をそこに落とした、らしく、異臭がするということらしい。
数年前にも野生の山猫(mountain lionというだけあってプーマサイズです)が小鹿をしとめたらしく、あたり一帯がすごい臭いがしていたことがあり、「自然」を感じたことがあったのですが、今回の事件現場は、我々の飲み水となる湧き水。
犠牲となった動物(口には出せなかったけれど人間でないことを密かに祈っていた私!)が鹿とか山猫とか大きな動物だったらどうやって貯水槽から引き上げるのだろうと、ミニブルドーザーで間に合うのかしら、と現実的なことにも頭が行く。



翌日の10時頃、ジムさんがやって来て、捕物帳が始まった。

結果的には、林の中をピョ〜ン、ピョ〜ンと飛び回っていた小鹿が、あやまって貯水槽の蓋板の上に着地してしまい、築数十年以上と思われるその蓋板が壊れて水中に落下。背が立たずに溺死したものと思われた。元々この貯水槽も、自然に沸いてくる地下水の水源の周りを板で囲っただけのもの。蓋板だって半分腐りかけているかも知れないから絶対に上にのってはいけないと言われていた。深さだってunknown。犠牲になった小鹿を干草用の鋤で救い上げるのがとても大変だったことから判断すると3mくらいはあったようだ。


まったく手入れはしていないポンプ小屋。でも整備の必要性が逼迫していたわけではないし。



動物などが入らないように蓋はしてあったのだけれど、、、、。



そして異臭は、腐乱死体の異臭ではなく、昭和の日本で馴染みの深かったあの「ドブ」の臭いだったのだ。昔の日本には、道路の横には側溝があり、それがドブ川になっていて、生活排水が流されていた。あの「ドブ」とまったく同じにおいだったのだ。それがあまりにも意外で強く印象に残った。


貯水槽からすくい上げられた小鹿は、2−3日もすれば、自然が処理をしてくれて、その異臭もなくなってしまうよとジムさん。


丸一昼夜かけて、貯水槽の水をポンプでくみ出した。やっぱり深さは3mくらいあったようだ。
ほぼ空にして、塩素を入れて殺菌消毒。
ただし今は乾季。雨の時期を待たずにしても貯水槽に水が溜まるだけの流量がある湧き水なのか、それとも冬になるまでタンク一つで凌がなければならないのか、まったくわからない。


山の中の生活、自然に頼るしかない生活の難しさの一面だ。


今日の一枚は、玄関のドアの上に巣をかけたヒタキ。まだ卵を温めている。