取り越し苦労

2日前は予習をしない通訳業務に対して、いつになく不安を覚えてジタバタし始めたところだったのに、その晩、実は担当するセッションの日英通訳は質疑応答の部分のみと判明してほっとした。これで予習しなくてすむと安心してしまったというのも困り者なのだが。

なぜ質疑応答は楽かと言うと、あらかじめ用意した原稿を立て板に水の如く読まれる可能性はまずないから。原稿を読むと抑揚がなくなり、一本調子で、何を強調したいのかが判断しにくく、同時通訳は難しい。しかも読むペースが早くなるし、何よりも文語調の文をリアルタイムで口語調に訳すのは至難の業なのです。(それに英訳だし。)

でも英語から日本語への通訳であればかなり気が楽になる。

これで今回も単語帳作りや予習をサボれることになったのだが、いつもそうしていると全然勉強をしないことになり、いつまでたっても実力が付かない。同僚の通訳が会議に臨む態勢を見ていると自分が恥ずかしくなる。高性能電子辞書(専門分野用ICカード付き)の他に、数ページにも渡る単語帳、依頼元から提供された資料にはびっしりと書き込みがしてある。

通訳料が高いとよく批判されるけれど、これだけの事前準備は数日分の作業に相当するということを理解してもらわなくては。