雪に閉ざされたスバル望遠鏡

マウナケア山頂を目指して

NASAと宇宙産業室共同開発の地球観測センサASTERサイエンスチームの研究者達を引き連れて、スバル望遠鏡を見学することになっていた。
不運なことに、月曜日から毎日、悪天候が続いている。各国の天文台の望遠鏡が連なるマウナケアの山頂は猛吹雪という報告も入っている。

除雪さえ進めば登れるでしょうから楽観していましょう、という担当官の言葉に励まされて、とりあえずビジターセンターまで行く。

麓は、青空さえ覗き始めた天候で、ハワイ島西側から入ったサドルロードからは雪を冠したマウナケアの頂上がきれいに見える。

+「大丈夫そうだね。」
+「よかったね。」

真っ青な空をバックに聳え立つマウナケアの白い頂きや、雲に見え隠れするマウナロアの写真を撮りながら、ビジターセンターへ進む。

ビジターセンターは、地面に雪もなく乾いている。その先に続く舗装されたアクセスロードも乾いており、ここから見えるマウナケアはうっすらと雪が残る程度だ。何か肩透かしを食わされた感じ。
ところがアクセスロードはブロックされていて、ガードマンが通行を止めている。

どういうこと?

ビジターセンター係官曰く、
+「山頂は猛吹雪。ハイカーが遭難して救助活動が行われている。それに猛吹雪で除雪作業が全然進んでいないんだ。望遠鏡施設も凍り付いてドームが開かないよ。」
+「はぁ? だってここはこんなに快晴で、青空なのに? あそこは山頂じゃないの?」と私。

どうやらビジターセンターから山頂は見えないらしい。う〜ん、悔しい。ここまで来て山頂まで行かれないなんて。この見学に私は3週間もかけて調整してきたのだ。今朝の今朝までレンタカーの手配で苦労したのだ。幾多の苦難を乗り越えてここまで来たのに(というのはちょっと大げさだけど)この17年間のASTERプロジェクトでハワイ島に来たのはたった2回しかない。そのめったにないチャンスを生かせないなんて。本当にがっかり。

なんだかんだ言っても、通行止めなら仕方がない。山頂でスバルとケック望遠鏡を見学するのは諦めて、ビジターセンターで国立天文台ヒロ観測所の方から説明を受ける。