スタートアップ企業の幹部

主人は大企業の幹部になって名声を得るということにあまり興味がない。
以前15年も勤めた会社は、入社した頃は、ちょっと大きめのスタートアップだったのに、辞めた頃には社員数3000を超えており、開発部門長として直属の部下だけでも150人もいるポストにいた。

その彼は、また今スタートアップ企業と言われる起業系に勤めている。社員番号が15番だか18番だかで、入社後の仕事の半分が開発スタッフの採用らしい。ベンチャー系なので人事部なんてなくて、給与計算とか福利厚生とか諸々の仕事をするスタッフはいるらしいが、採用はその当該部署が行う。(当該部署と言ったって、社内には開発本部しかないのだけれど。)

採用にあたってはオファーレターという、採用条件を書いた文書を作成してヘッドハントを始める。それが採用交渉のスタートライン。業務内容や給与賞与だけではなくて、通勤条件だとか細かい条件も交渉の対象になるらしい。

昨日は、翌日の投資家向けのデモの準備や、採用候補者の面接が通常業務として予定されていたそうだ。その上、一昨日の晩に会社に泥棒が入り、コンピュータを始め、様々な資産が盗難に遭いその後始末もしなければならなかった。さらに、男性トイレの水洗が止まらなくなって洪水になってしまったという。テナントとして入っているビルには、管理人がいないので、トイレを掃除する人もない。
面接に来る採用候補者が、「トイレが壊れている会社なんかで働きたくない」と言うほど、会社のイメージが悪くなっては大変と主人自らモップをかけたという。

自宅でトイレの掃除なぞしたことがない主人だが、必要に迫られれば何でもやるということか。

この会社には創業者(Founder)や社長(CEO)がいる。主人はその次。でも「兼小使い」という立場は私とそう変わりはなさそう。

盗難被害やトイレ故障のハプニングは気の毒だったけれど、トイレ掃除までやったという話には苦笑してしまった。(でも、幹部自らお手本を示さなくちゃね。)