落雷と山火事 その2

朝から煙い。煙が目にしみてヒリヒリする。
窓を閉めていても、煙のせいで頭痛がするほどだ。
あたり一帯はもやがかかったようになっている。
車の上には、うっすらと灰が積もっていた。


どの辺りが燃えているのか見に行くことにした。

車を出した時のラジオで、「メンドシーノ群だけで100箇所近くが燃えています。隣のハンボルト群で数十箇所、その他シスキヨー群、ビュート群、サンマテオ群でも火事が発生しています。」と言っていた。要するに北カリフォルニア一帯が燃えていることになる。これは大変だ。

メンドシーノ群はカリフォルニア州の中でも一番貧しい地方自治体だと言われている。人口が少ない分リソースがない。警察や消防は自警団やボランティア消防隊で支えられている。山間部にあるため、CDF(カリフォルニア州消防局)が出動してくる。

太平洋岸に向かって5分を走らないうちに、CDFの消防車数台、救急車1台、民間のトラック数台が停まっている場所があった。木が燃えている臭いがすると思ったら、道端のところまで焦げた跡があり、まだくすぶっている箇所がいくつもあった。この辺りは山が急斜面で命綱無しに斜面を降りることができない。重機が入ることも消防車が入ることもできない。ヘリコプターで消火するしかない場所である。


メンドシーノ群だけで100箇所も燃えていて、そのうち数箇所は非難勧告が出ているくらい、燃え広がっているらしい。ここは人間よりも家畜の方がが多い地域である。半径800mの範囲で7箇所燃えている場所もあるという。まだCDFが介入していない場所が30箇所程度あるらしい。CDFで所有するヘリは数機のみで、近隣のオレゴン州ワシントン州ネバダ州からの応援の他、東海岸ノースキャロライナ州からもヘリの応援が到着することになっているという。

ロス、サンフランシスコ、シアトルなどの西海岸を結ぶ定期便からは、この火事の様子がよく見えるだろう。

我がルックアウトランチがこんなに煙いのはわずか数キロ離れた隣の尾根が燃えているからのようだ。でも北カリフォルニア全域にわたって山火事が発生しているため、どちらを向いても煙い。

私達は消防訓練を受けていないため、ボランティアすることはできないが、せめて消防隊の人に飲料水だけでも提供しようかと考えた。ガレージにはペットボトルが数ケース用意してある。でも彼らはちゃんと何ケースも用意して来ていた。こうなると、何の力にもなれない自分達が情けない。