山火事その3 避難勧告発令 Mendocino on fire

先週金曜日午後から土曜日未明に北カリフォルニア一帯に発生した雷は、ある情報源によると6000発もの落雷があったそうだ。雨を伴わないドライ・ライトニングだったため、干ばつの雨季の後、乾期に入って数ヶ月になるカリフォルニアでは、800箇所で火事が発生している。

北はオレンゴン州境のハンボルト群、シャスタ山付近、ナパバレー付近に始まり、シリコンバレーの南モントレー・カーメル地域でも火事になった。日曜日にはサンフランシスコ国際空港隣のサンブルーノ山ももくもくと煙が上がり、おりからの北風にのってSF空港方面に煙が流れていった。月曜日は、平行離発着ができず、遅延・欠航の多発で、空のダイヤが大幅に乱れた。


メンドシーノ群に限った話をすると、現在131件の火事が確認されているが、そのうち消防隊がまったく介入できずにいる火事が60から70あると言う。リソースが限られているため、大規模火事はそのまま放置され、大規模化を防ぐという目的でアクセス可能な小規模火事が優先的に対応されている。(大規模火事が放置されているため、メンドシーノ一帯は屋内でも目が痛くなるほどの煙量で、屋外に出るとマスクなしには喉が痛くなる。)

今のところ人命への危険性が認められている区域はないので、緊急避難命令は出ていないが、このまま拡大すると被害が出る可能性がある区域は避難勧告(Evacuation Warning)が出されている。
なんと、太平洋岸の町マンチェスター(Manchester)からブーンビル(Boonville)を結ぶ全長27マイル(約43キロ)のマウンテンビューロードは2箇所で避難勧告が出てしまったのだ。マイルマーカー17マイルの地点は、その北側のシグナルリッジ大規模火事の延焼の危険性があるため。そしてもう一つのマイルマーカー9マイル地点は我がルックアウトランチがある場所なのである!

厳密に言うと、ルックアウトランチはマーカー9.26マイルと9.87マイルにまたがっている。9マイル地点はお隣のドゥーリングさんのワイナリーがある場所。この1キロの距離をどう判断すべきか。都会人の常識は山間部には通用しないのだ。あっと言う間に数百エーカー(数十万坪)燃えてしまう山火事において1キロは安心できない距離である。でも「火がそこまで迫っている」という緊迫感はまだない。

ドゥーリングさんは道路の南側。ルックアウトランチは道路の北側。このまま北風が続けば、道路を越えて火がこちらに飛んでくる可能性はないが、いったん風向きが変わればどうなるかはわからない。今のところ山の急斜面に位置する火事現場に消防隊はアクセスできないため放置されているが(静観状態のまま)、いったん道路近くまで燃え広がれば消防車が出動できる。


被害が出る可能性は少ない(と信じたい)が、避難勧告も出ていることだし、いざという時のために、家財道具を運び出すことにした。これが「骨折り損のくたびれもうけ」「取り越し苦労」に終わってくれるのを祈るばかりである。