翻訳の苦しみ It’s beyond my skill level!

昨夜6時頃、ずっと昔に会ったことがあるという人から翻訳の依頼があった。私の記憶には全然無い人だし、その人も私とどこで会ったか覚えていないという。でも仕事の依頼なので、常連客でも一見でもあまり気にしないことにする。

仕事の内容は、大至急という注文で、24時間で仕上げなければならない10ページ強の翻訳だった。国際映画祭に応募する映画の概要の翻訳という内容で、かつ依頼主の切羽詰まった様子が感じられたので、お引き受けすることにした。原稿を頂いてびっくり! まず英訳の仕事だったこと。(私は英訳が苦手である。英語は大学卒業してから習得したので英訳が苦手なのは当たり前であるが。)しかも映画がコミックファンタジーなのだ。ふだん私は、英語力の無さを自覚して、無味乾燥な科学論文や技術資料の翻訳を中心に仕事をしている。文芸書の翻訳にすら手を出したことがない。それなのに、今回の翻訳には「魔界」「謀略」「魔峡」「結界」「怪人」「超人」の他、いろいろな宗教や伝説の神々、スーパーヒーローが登場する。スーパーヒーローに似合う動詞や形容詞、副詞は、ふだん私達が目にするような語彙ではない。

しかも私はファンタジーゲームのゲーマーではないのだ。

さて困った。24時間後の締め切りを控えて、他の翻訳者を探している時間の余裕がないという発注者の泣きそうな声を聞くと、冷たく突き放すこともできず。。。

SFにはアニメの英訳では世界的に有名な人がいる。本当は彼に翻訳してもらいたかったが運悪く連絡がつかないという。そういうことなら仕方が無い、とこの翻訳を引き受けることにした。

それにしても、一字一句辞書を引きながらでなければ、英語が思い浮かばない。神様やキャラクターの名前もググって検索する。(検索するだけで調べ物ができるのは本当にありがたいことだけど。)
駄洒落っぽい名前がついているキャラクターの名前を英語表記するのだって一苦労だし。

割りの悪い仕事を引き受けてしまったものだと自己嫌悪する反面、とても勉強になる。こんな機会がなければこの種の語彙を調べることはないだろう。自分の英語力の無さをあらためて自覚する機会でもある。

This job makes me humble again.  英訳が得意とは口が裂けても言わないようにしているが、これからはもっと英訳は苦手を強調しなくては。