曖昧な日本語の英訳

昨日の電話会議でのこと。

問い合わせを出した日本側は、海外(英語圏)ベンダーからの回答が遅い、的を得ていない、がゆえに「回答品質が悪い」苛々している。この不満を何とか相手に伝えたい。

こういう状況を英語で伝えるのはかなり難しいというか上級のスキルが必要である。
なぜならば、、、、。


「回答品質が悪い」を "The quality of your response is poor." と訳すことは簡単で、この文自体、文法的な誤りはない。けれどもこれでは相手に意味が通じないのである。
"What do you mean the quality is poor?" と切り返される。

(1)回答が的を得ていないには、もしかしたら英訳した質問が英語として意味を成していないのが理由なのかもしれない。質問が解読できなければ、的を得た回答ができなくても不思議ではない。
ある程度、英語ができる人でもその人の英訳文は英語になっていない場合が多い。(かくいう私も英訳する際は必ずネイティブにチェックしてもらう。そしてその時必ず、「これどういう意味?」と聞かれることが二度三度あるのだ。正確に翻訳したつもりでも相手には通じていないということが少なからずある。しかも私はプロの翻訳家であるにも拘わらずこのレベルだ。ましてや多少英語ができるというビジネスマンが英訳して、相手にすんなりこちらの意図が通じるわけがない。


(2)回答が的を得ていないのもう一つの原因として、英文回答を和訳した際に、的確に翻訳でいていないという場合がある。特に機械翻訳を利用し、その結果をちゃんと日本語がわかる人がチェックしていない場合、こういう事態に陥ることがある。機械翻訳は便利ではあるが、使い物ならないほど翻訳品質が悪い場合もあるので要注意である。


(3)レスポンスが遅い理由:問い合わせを放置したまま手をつけなかったために遅れたと日本側は思っているかもしれないが、問い合わせ(日本語)の英訳 → 翻訳された問い合わせの質問の意図を確認する・翻訳不備の訂正のやり取り → 回答作成 → 回答(英語)の翻訳 → 回答内容の不明な点を確認 → 回答の和訳完成 というプロセスを踏めば、時間がかかるのは当たり前だ。


このような様々な要因が考えられる中、単にQuality is poorと言っても相手には通じないのである。
これは英語力の問題ではなく、日本語的概念的(曖昧)思考と英語的(具体的)思考のギャップなのである。