パタゴニア6日目(11月14日)

MickieG2009-11-15

昨日の夕方が、雲ひとつない快晴で、MassifもPaine Grandeもその全貌を顕わし、それはそれは見事なSunsetだったので、ポールさんは朝焼けの写真を撮ろうと勇んで早起きした。日の出は5時45分頃。山の陰から日が射してくるのは6時前だ。

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しかしながら朝食の時には、既に辺りは一面の雲に覆われており、Massifもパイネグランデもほとんど見えないような状態だった。一体この雲はどこから来たのだろう。昨夜はずっと遠くの方まで晴れ渡っていたのに。

そして、8時半の出発の時には霙模様だった。
今日の目的地はPingo Valley。通常はオファーされていないプログラムらしいが、どうしても啄木鳥を見たいと特別に依頼して設けてもらったコースだ。この辺りは雨量が少ないところで周囲は草や潅木がほとんどである。けれどもグレイ湖の西側、ピンゴバレーはパイネの強風からも守られており、この辺り一番の森だという。森には鳥がいるし、森ならではの草花もある。ハイキングが主目的であるコースが多い中、「森をうろうろする」ことをリクエスト。バードウォッチングには、我々が動かないことが肝心。

ハイキングを開始する頃には、霙は雪に変わった。こんな天候で鳥が見られるのだろうかと不安になる。小1時間ほど歩いてシェラトンに到着。ここで一休止。シェラトンというのはもちろんハイカーが皮肉を込めてつけたニックネーム。中が3つに区切られただけの掘っ立て小屋だ。それでも天候の急変を凌ぐには十分だと言う。中にはハイカー達が自分の名前を刻んでいる。

ここでガイド役のロベルトが防水ズボンを履き、帽子を取り出した。その時は気がつかなかったのだが、雨対策だったのだ。10分程度しか休憩しなかったのに、外に出てみると、雪がめそめそ降っている。ボタン雪だ。このまま続行?せっかくのメインイベントの日なのにこの天候とは。ここから登りに入る。

かなりの雪の中を黙々と歩く。雑木林と言う感じのレンガ(Beechの一種)の森の中は雪も風も穏やかだ。これまでと違って風がないので全然寒く感じられない。なのに足指が冷たくなってきた。何と、ブーツの布地の部分から雪が解けてしみこんで来ていたのだ。コートもズボンの完全防水で快適なのに、靴の中がクッチュン、クッチュン言い出した。マズイ! このままだと指が冷たくなって歩けなくなる。そこまで行かなくても濡れた靴下はマメの原因になる。毛糸の手袋も濡れており、だんだんと指がかじかんで来た。ここで得たハイキングの鉄則。頭のてっぺんから靴の先まで、防水を装備すること。レインコートもレインパンツもナイロン100%のペラペラの薄手のもので防寒機能はほとんどないが、この防風防水のおかげでとても快適だ。けれども手袋とブーツはうっかりしていた。特に雨がブーツからしみこんでくるというのは盲点でチェック忘れだ。


森の中をしばらく行くうちに鳥の声が聞こえてくる。声は聞こえど姿は見えず。枝にじっと止まっていてくれないので、その姿を見極めることができない。レンガは細い枝に小さな葉っぱがたくさん付いているため、小鳥の姿を隠すには本当に適している。

鳥の声は聞こえるが、啄木鳥のあの特徴的な木を突く音は聞こえない。今日も啄木鳥には遭遇できないのか。
とその時、目の前を何かがよぎった。その方向を見ると、、、、。ふくろう!(Rufs Hooted Owl。) 夜行性のはずのふくろうはすぐそこの枝に止まったのだ。あれだけの大きな鳥なのに羽ばたく音が全然しない。目をぱっちりあけてこちらを見つめている。

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結局、啄木鳥を見かけることもその声を聞くこともなかったが、ピンゴバレーは森ならではの湿気に恵まれ、他では見られない草木が見られて面白かった。ランチを済ませた頃から雪が止み、あのシェラトンに戻ってきた頃には青空が覗いていた。頭上に輪を描くコンドル達。