ずっとお休みですみません。レベルの高い通訳とは?

10月に日本から戻ってきてからずっと忙しくしていました。

ワシントンDCではデータウェアハウスのカンファレンスが1週間あり、6名の通訳チームで対応。
今年は最強チームで臨んだはずだったのに、評価はこれまでの最低。お客様の期待が高かった?

確かに私が聞いていたセッションでは、通訳のパフォーマンスは「素晴らしい!」というレベルには残念ながら到達していなかった。けれどもこれは必ずしも全て通訳のせいというわけではない。

今年のスピーカーはかなり早口の人が多かった。
同時通訳の場合、スピーカーが早口だと必然的に通訳も早口にならざるを得ない。
略語や製品名が頻出すると、それをメモしている間にスピーカーはもう追いつけないくらい先に行ってしまっている。プレゼンの内容やコンセプトがわかっていないと、一字一句聞き取らない限り、通訳はできない。おそらく通訳評価が低かった原因はここにあったのだろう。

しかも、レベルの高い通訳には、「滑らかな」訳出が必要だ。
滑らかとは、う〜とかえ〜とかをあまり入れず、つっかえずに、日本語として適切な構文で訳出すること。
ところが、スピーカーのスピードに付いて行かれなくなると、訳の構文が英語的になる。

例えば、When〜で始まるような条件節が後から付いて来る時には、ふつう前半部分をバッファーに貯めておいて、When以下を先に訳してから前半部分を訳出するときれいに仕上がる。ところがスピーカーに付いていくのが精一杯だと、バッファはほとんど機能せず、原文を頭から訳していくが故に日本語としてはおかしな文になってしまうのだ。
この問題もあったらしい。

いくら精鋭の通訳を集めておいても、プレゼン資料が入手できない等、事前準備が十分にできない場合にはパフォーマンスにも限度が出てしまう。特に専門知識がない分野においてをやである。でもこのカンファレンス、スピーカーが会場入りしないとそのプレゼン原稿は入手できないので、事前準備も一夜漬けがせいぜい。だから普段から一般教養としてこの分野のことを勉強しておく必要がある。

来年のカンファレンスでリベンジが図れるか。

カンファレンス通訳の手配の仕方については、またどこかの機会で書きたいと思います。