アメリカの通訳 〜学生向け講演会〜
昨日、グローバルイノベーションというカリキュラムの一環で、某国立大学の学生向けに講演をしました。
「アメリカを拠点にする通訳」という仕事を紹介するのが私の担当。
いつ頃から通訳を志すようになったのか。
通訳になったきっかけ。
通訳とはどういう仕事か。
などを話すことによって、新一年生が卒後の職業について真剣に考える機会を与えるというテーマです。
隣に座っているのはシリコンバレーセンター長の井手教授。
SKYPEを使っての遠隔授業の模様。
私が通訳になったのは偶然のことだし、通訳はアメリカでなければできないわけではなく、需要は(そして供給も)日本の方が多いはず。それなのに私の講演でよいのかしら? 他の講演者は、領事だったりビジネスコンサルタントだったり、公認会計士だったり、米国の医療機関で研究するドクターだったり。やっぱり私には身の丈不相応と思ったのですが、、、、。
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通訳者や翻訳家は誰にでもなれます。
元手が無くても、体一つ腕一本で起業できます。
通訳学校に行ったことがあってもなくても、英検を取ったことがあってもなくても、なることができます。
英文科卒業でなくても大丈夫です。
でも優秀な、レベルの高い通訳者・翻訳家になるためには、
- 日本語がしっかりしていること。
- 英語がしっかりしていること。
「しっかり」というのは、教養ある社会人としての国語のレベルに達しているという意味です。
- 広く浅く(もちろん広く深ければそれに越したことはないですが)いろいろな知識を持っていること。
- 知的好奇心が旺盛で、知識に対して貪欲であり、かつ吸収力があること。
- 相手(聞き手)が理解しているか否かを常に意識していること。
などの資質が必要です。
通訳の場合は、これに
- 頭の回転力が早く、解析力があり、瞬発力があること
が追加されます。
多少英語ができるようになれば誰でも通訳や翻訳の仕事を始められる一方で、レベルの高い通訳者・翻訳家になるのはたやすいことではありません。芸術家やスポーツ選手と同様、その道を極めるには生まれ持った素質が必要かも知れません。
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講義に割り当てられた90分はあっという間に過ぎてしまい、言い残した、伝え切れなかったと後から反省することが多々ありました。
講義の後、学生・受講生からの質問に答えるミッキー。
数人から積極的なコメントや質問が出て、ほっとするとともに手応えを感じた。
数十人の受講生を対象に、Skypeを使ったビデオ+音声の通信で行った遠隔授業。
回線が混雑していたのか、画像状態が悪く接続し直したり、途中で両回線が切れてしまったり、というアクシデントもありました。
学生が映る画面の上に備え付けられたカメラなので、常に目線を上に保つことの難しさも体験しました。(学生を見つめると相手には私が下を向いているように写ってしまうのです。)
退屈そうに聞いている何人かの受講生を意識しながらも気にし過ぎないことも容易ではありませんでした。
それでもシリコンバレーから日本にいる学生に向けて、テクノロジーを使えば、こんなに簡単にコストをかけずに講義ができるようになったというのは、時の流れを感じます。これからはこのような遠隔授業も当たり前になることでしょう。
私にとっても貴重な経験でした。