疲れた〜!   通訳で酸欠?

今週は3日しか仕事に行かなかったのだけれど、木曜日の夜には疲労困憊だった。


火曜日は午後半日のソロの同時通訳。日本から戻ってきたばかりで時差ぼけの影響があり本調子ではなかったけれど無事に切り抜けた。


水曜日はパートナーがいる終日の同時通訳。パートナーがいるので楽勝とたかをくくっていたけれど、最後の2人のプレゼンターにしてやられてしまった。一人は、英語そのものは問題ないのだけれど、モゴモゴ喋る人でとにかく聞き取れない。特に各センテンスの最後の1−2つの単語がまったく聞き取れないため、日本語の訳文が構築できないのだ。必死になって耳をそばだてても全然聞こえてこない。文頭は聞こえるのに文末が聞こえないのだ。どっと疲れてパートナーにバトンタッチ。

そして最後のプレゼンターはフランス人。フランス語訛りが強いプレゼンターの通訳をしたことはあるけれど、ここまで訛りが強い人は始めて。英語を話しているはずなのに、全然英語に聞こえてこない。
??? 
目は点になったまま、あんぐりと口が開いてしまう。
これまた必死に聞こうとするのだけれど、やっぱり英語には聞こえない。
助けて〜!とばかりに完全バイリンガルのパートナーにタッチ。
(でも彼も苦労してました。聞き取れないものはやっぱり聞き取れないのですね。)

どっと疲れて帰宅した2日目でした。


木曜日は終日の同時通訳。朝から晩までぎっしり詰まったアジェンダで、時間通り進まないことも予想される。
昨日の疲れを引きずったまま出勤。
でも担当営業には、「同時通訳で大丈夫です」と言ってしまった手前、パフォーマンスの質が落ちるようなことがあってはならない。
お願いして印字してもらった資料からだいぶ変更があって、手元のスライドと画面のスライドが合わないという苦労もあり、資料を頼りにすることは諦める。

カフェインと砂糖の量ではNo.1と言われているソフトドリンクを朝から飲んで対応したせいか、午前中は順調に進んで、ちょっと良い気分。
ところが午後一番のプレゼンターは立て板に水の人だった。「機関銃のごとくまくし立てる」というわけではないけれど、何しろ、フレーズとフレーズ、文と文の間に隙間がまったくない。息継ぎしているのかしらと首を傾げたくなる。う〜とかえ〜とかあの〜に相当する無駄語も皆無なので、通訳も無駄なくパーフェクトに流していかないと追いつかない。「考えている余裕」をまったく与えてくれないプレゼンターだったため、セッションが終わった時点でぐったりなってしまった。


最後から2人目のプレゼンターは、その前の「立て板に水」プレゼンターの様子を見ていたせいか、ゆっくり目に話してくれる。
文の切れ目、スライドの切り替えにも、多少時間の余裕を見てくれるため、こちらも息を吸う暇がある。これで何とか体制の建て直しができた。


最後のプレゼンターは顔なじみの人。マーケティング担当なので話が上手。スライドに書いてあることはほとんど触れず、周辺情報を補足していくタイプ。スライドを目で追い、文脈を把握しながら、それとは異なる耳から入ってくる情報を和訳するのは、通常以上の集中力を必要とする。内容的には、技術的な難しい話ではなかったけれど、やっぱり疲れる。


ブース無しの同時通訳はささやき声で訳さなければいけないため、普通に発声するよりも喉に負担がかかる。呼吸によって喉を潤すことができないため、ずっと話続けていると、本当に文字通り喉の粘膜がくっついてしまう。そうなると息を吸う事ができなくなる。鼻呼吸すればと考えることもあるけれど、鼻から思いっきり息を吸うとその音がマイクに入ってしまうため、鼻呼吸はNGだと思っている。ブース無しの同時通訳は、呼吸方法が本当にとてもとても難しいのです。
瞬間的に思いっきり息を吸い、それを少しずつ少しずつ発声とともに息を吐き出していく。1−2センテンス分は息継ぎをしないで訳出する。


今日の業務が終わった時にはかなり頭がくらくらした。
終日の同時通訳をした後は、頭が空回りして、耳から入ってくる情報をすべてシャットアウトしたくなることがあるけれど、今日のようにくらくらするというのはあまり無い。
よく考えてみると、このくらくらは、酸素欠乏と関係があるのではないかしら。


そして翌朝も、脱力感は回復していませんでした。