8月の来客

8月20日に主人のお母さんがそのお姉さんフランシスを連れて遊びに来た。
昔から仲良しの姉妹だったらしいけれど、義母が実家を出て自活するようになってからの60年の間、両親の葬式以外は顔を合わせていなかったということ。

義母は、姉が遊びに来てくれたことが嬉しくて仕方がないらしく、朝から晩まで二人一緒で、懐かしい話やら四方山話が尽きない。二人してよく笑う。人生でこんなに笑ったことがないという二人。子供の頃、家庭で笑うことが許されていなかったとか。
何しろ、かしましい二人だった。


そこへ義父が割り込んで会話するものだから、さらに会話が騒々しくなる。(話が盛り上がるというわけでもなく、弾むというわけでもなく、義父が割り込むと、単に騒々しくなるのだ。)

いつもは夫婦二人だけの静かな生活に慣れている主人は、3人を置いて早々にどこかへ逃げ出してしまい、全然ホスト役を果たしていない。放っておいてもシニア3人組でいつまでもおしゃべりしているから世話が焼けなくて良いのだが。

4日間に渡って、5人分3食を必ず支度するのは結構の仕事だった。別にご馳走を作るわけではないけれど、たかがトーストを焼いてコーヒーを入れるだけだって、5人分の皿洗いが待っている。久しぶりに台所にいる時間が長かった。

フランシスはとってもいい人だった。何をしても感謝して、楽しんでくれて、すべてに対して前向き。良いほうに良いほうに解釈する人。何に対しても興味を示す姿も一緒にいて楽しい。数独を覚えたいというので丸1日付きっ切りで教えてあげた。初心者に教えるのはかなり辛抱が居るけれど、フランシスはすっかり数独にはまってしまったみたい。どこへ行くにも数独の本を持って歩くようになり、暇があれば試している。結局、数独の本1冊、0.7ミリのシャープペン、日本製のプラスチック消しゴム1個をプレゼントする羽目になった。

フランシスは、カリフォルニアとは対角線上にあるメーン州北部に住んでいる。今回は義母のところに1ヶ月滞在している。