通訳のジレンマ

日米を跨ぐプロジェクトを成功させるには、プロジェクトマネージャー(PM)は各々の文化や商習慣の違いを十分に理解し、その橋渡しをし、ギャップを埋めるように配慮しながら、プロジェクトを進める必要があると思う。日本流だけで押すと、相手の対応に苛々することが累積するだろう。

たとえば、導入製品の機能や動作について質問が出たとする。

  • その質問を英語で書いて、メーカーに送る。
  • メーカーからの回答は、時間がかかりしかも内容が的を得ていない。
  • 再度、質問を送る。
  • またかなり時間がかかってから回答が来るが、まだその回答は答えになっていない。よってメーカーがわざとはぐらかしているのか、他の案件を優先させ、自分の超重要案件が後回しにされているのではないかと勘ぐりたくなる。

日本側は、回答品質が悪い!という内容のメールをメーカーに送りつける。
それでも、顧客を満足させられるだけの納得が行く回答が来ないかぎり、イライラは不満を募るばかりである。


単に「回答品質が悪い the response quality is bad.」と英語で書いて相手に送ってもあまり効果的ではない。What do you mean by that?と逆に言われるのがオチである。
何を以って回答品質が悪いと言っているのか、回答のどの部分の品質が悪いのかを指摘してやらなければならない。

The response is not detail enough.
The response is taking too long.
The response had an error in it.
The response was unclear.

具体的にどこが悪いか指摘できれば、解決案、改善案も自ずと見えて来る。
そうすれば、改善のために何をして欲しいのか、具体的に要求できるようになる。


メーカーが提供して来たコンサルタントの仕事に満足できない場合:
日本側PM:あんなコンサルタントはすぐに交代して、もっと有能なコンサルタントと交代してください。
外国メーカー:急に言われても交代できませんので、とりあえず今週と来週はリモートからのサポートにしましょう。再来週には誰か交代要員を充てます。
日本側PM:リモートなんてダメなんだよぉ。オンサイトのコンサルタントが必要なんだって言ってるじゃないか。こっちだって、作業が進まずイライラしてんだから。
外国メーカー:調整には時間が必要です。今週来週は、リモートでのサポートエンジニアなら用意できます。その間に交代要員が確保できるかどうか探してみましょう。

というやり取りをどう通訳するか。
もちろん、通常であれば、発言をそのまま忠実に訳せばよいのであるが、交渉の進捗に一役買うことも期待されているような場合